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TOP湾曲橋桁横引工法

                    
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納入先
橋梁構築における重量鋼桁の新しい横取り法
鋼桁の横取り工法における横引きは、30トン位までの比較的軽量の鋼桁の場合は、横取り梁にグリース等の湿式潤滑剤を塗布して 『ジカ引キ』 が可能であるが、重量鋼桁の場合には、コロ又は台車が使われている。この場合、仮設資材が多く従って工事コストも高く、横取り完了時の降下量も多く、又作業の安全性からも問題とされていた。このような重量鋼桁を軽量の鋼桁と同様に 『ジカ引キ』 することが業界から望まれていた。そこで、当社は、日本鉄塔工業兜タびに横河工事鰍フご協力を得て、両社が施工している阪神道路公団大阪湾岸線の三宝工区において、総重量680トンの湾曲鋼桁の横取り工事に当社の『乾式MoS被膜潤滑剤』による 『ジカ引キ』試験を行った。以下はその試験結果である。
鋼桁の横取り工法
写真1 横引完了寸前の状態
手前の橋脚ははSP1
[工事の概要]
湾曲鋼桁は第一図に示すように、一端が大和川サイドの橋脚YP4上に仮設された横取り梁(438h X 427W X 40/40t X 282mL)に乗り(R=307トン)、他端は三宝サイドの橋脚SP1上に仮設された横取り梁(508h X 462w X 75/75t X 10mLより438h X 427w X 40/40t X 28mLに盛りかえ)に乗っている(R=373トン)。
それを夫々の横取り梁横取り梁の一端に設置された油圧ジャッキにより14.705m移動させる。
鋼桁には、第二図に示すように横取り梁一本につき2枚ずつ下板(700 X 462)を取付、横取り梁の上を滑らせるようになっている。
[潤滑剤の選定]
潤滑剤の選定には下記の条件を考慮し,EPドライグリースとFXRの2種類を使用した。
  1. 極圧に絶えるため下板と横取り梁との間に乾式MoS被膜を形成するもの
  2. 現場の作業性を考慮し、刷毛塗りが容易なもの
  3. 乾燥性のもの、ただしバインダーの入った物は不適当
[試験の概要とその目的]
試験の目的は重量桁の 『ジカ引キ』 に乾式MoS被膜潤滑がどの程度有効であるかを実際に確かめるわけであるが、同時に、EPドライグリースとFXRの使い分けと横取り梁の表面粗さがどのように横取り反力に影響を与えるかも調査すべき課題である。

そこで、YP4上の横取り梁の滑り面には潤滑剤塗布前にサンダー掛けを行い、SP1上のものは黒皮のままとした。

4枚の下板の滑り面には、いずれもEPドライグリースを塗布した。

各横取り梁には横取反力表に示すようにFXRとEPを塗り分けた。これにより、下記の状態における横取り反力の変化を調べる。

  1. EP(下板)とFXR(横取り梁)の摺動
  2. EP(下板)とEP(横取り梁)との摺動
  3. EP域通過後のEP(下板)とFXR(横取り梁)との摺動
第一図
第二図
[試験結果]
昭和56年9月10日」(試験引)翌11日(本引)の両日に行われた横取り反力測定の結果の詳細は横取反力表の通りである。

写真2 下板の摺動面にはEPを塗布

写真3 横取り梁にはFXRとEPを塗り分ける
[試験結果]
  1. 今回の作業は実験の意味もあり、MoSの含有量の少ないFXRを先に塗り中間部にMoS40%含有のEPグリースを塗布し潤滑剤の特性を観察した。これによると、明らかにEP塗布域に入ると摩擦係数は減り(0.15→0.11)効果は明瞭に現れた。

  2. EP塗布域を越えFXR塗布域となっても摩擦係数は増加しない。これは摺動面にMoSがメッキ状に付着したためと思われる。

  3. 摩擦面は計画時水平としH鋼JIS規格内の歪み・その他誤差により片ぎきして滑動した部分もあったが、摩擦係数の変化は認められなかった。

  4. 試験引きの際、SP1にては150t まで作用させ動かしたが、この面のEPの塗布は完全ではなかった。これは滑動面から観察され、又、300mm程度横引きし滑動面にMoSが回る状態になれば横引き力が安定したことでも理解できる。

  5. 衝撃を伴い滑動したのは、SP1の最初の横引きのみでありその他はジャッキ圧を上げ一定の値に達すると滑りはじめ、滑動している間のジャッキ圧は変化せず、速度も一定であった。

  6. YP4上での横取(電動ブラシで横取梁表面をケレン)は、SP1(ミルスケールの付いたままの物)と比べ、夫々の摩擦係数においてSP1の方が約43%大きくなっている。これは、SP1の方が滑動中、MoSの付いたミルスケールが横取梁表面より部分的に剥離されているものと推定できる。

  7. EPを塗布した下板(シュー)と、FXR→EP再びFXRと塗り分けられた横取梁との摩擦係数の変化を見ると、EP塗布域に入ったときが最良である。又、本件での潤滑剤の使用量は、塗布面積約21m2に対し、FXRが3リットル・EPが15.1キログラムで従来の付帯設備に要する費用を考えると格安であり、これからの本作業では信頼性や安全性・作業性を考えると、EPドライグリースだけを使用するほうが得策である。
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